独立行政法人の産業技術総合研究所・シナジーマテリアル研究センターは、屋内用建材に含まれる化学物質の影響で頭痛やめまいなどの症状を引き起こすシックハウス症候群の原因物質「ホルムアルデヒド」に特異的に応答するセンサー材料を初めて開発した。政府のシックハウス対策強化にともない、原因物質を高感度に測定するニーズが高まりつつあることに対応した。
新センサー材料は、有機化合物と無機化合物を複層化したハイブリッド材料。有機が測定対象物質に最初に接触するアンテナである「分子認識機能」を、無機がアンテナから伝わってきた刺激を“電気抵抗値の変化”としてとらえる「信号変換機能」の役割を担う。
濃度が1000ppm(1ppmは100万分の1)の各種揮発性有機化合物(VOC)ガスを入れた室内でセンサー材料の感度を調べたところ、代表的なVOCであるホルムアルデヒドに高い感度で応答することを確かめた。一方、トルエンやベンゼンにはまったく応答しなかった。
従来のVOC検出器は、室内に存在するすべてのVOCガスの濃度を、総体的にとらえるのに有効だが、対象物質を絞る測定ニーズへの対応は困難だった。
あわせて、新開発のセンサー材料はVOCガスの存在しない部屋に移すと、繰り返し使用できる特徴をもつ。このため、新材料を使用することで、現場で連続的なモニタリングを可能とする小型センサー機器が実現できるようになる。従来の検出器は1度使用するたびに、部品などを交換する必要があった。
日本工業新聞 2003/5/16(金)
リサイクル塩化ビニル管製造販売専業の大水産業(埼玉県岩槻市)は、塩ビ管の生産工場(茨城県八郷町)が、先月、日本工業規格(JIS)の認定工場となったことを受け、リサイクル塩ビ管の上級品にJIS規格の表示をつけて売り出した。原料のすべてに再生資源を使っている「一級管」と呼ばれる製品が対象で、年間1000トンを販売する計画。リサイクル品で、JIS表示が認められている製品は国内でも珍しいという。
八郷工場は、先月21日、関東経済産業局技術振興課の審査を受け、硬質塩ビ管の工場に設定される「JIS K 6741」の認定を受けた。認定工場は、その工場で生産されるJIS規格の条件を満たした製品に限定し、JIS表示が認められる仕組みになっている。
一級管(Rスーパー管)は、塩ビメーカーが、新品の塩ビ管を生産する際に出る端材だけを原料としている。汚れや異物の付着がなく品質面で優れており、JIS表示が競争入札で有利に働く公共事業などで、排水・下水管として売り込む。
大水産業が、ビルや住宅の建て替え工事などにともない回収する廃塩ビ管は年間2000トン。八郷工場ではこれを、汚れや劣化の程度によって厳密に選別し、粉砕後、直径数ミリメートルの大きさに造粒、リサイクル原料として利用している。
国内で排出される廃塩ビ管は、塩化ビニル管・継手協会によると、年間3万6000トンで、ここ数年は横ばいで推移。リサイクル率は48%で、廃塩ビ管のリサイクル会社は、全国に5社あるという。
また、経済産業省産業技術環境局によると、「リサイクル製品でJIS表示が認められているものは、タイヤなどに一部あるものの、まだ、数は少ないとみられる」(認証課)。