「リターナブル梱包」は解体・組み立ても容易で、補修や再生をしなくても、数十回も使用できる(上が開梱前、下が開梱後)
クリナップは、商品梱包(こんぽう)材の大幅削減活動に乗り出した。繰り返し利用できる専用梱包材「リターナブル梱包」を開発、埋め立て・焼却廃棄物を実質ゼロにできるようにした。第1弾として積水ハウスと提携、湯本工場(福島県いわき市)から同社に出荷・納品するキッチン流し台ワークトップの梱包材に導入した。今後、対象品目と取引企業の拡大に努める。環境保護路線を鮮明に打ち出し、市場競争力の強化にもつなげる。
大手住宅設備機器メーカーで、キッチン部品にそのまま再利用が可能な梱包材を採用するのは、同社が初めてという。
リターナブル梱包は、化学メーカーと共同開発した。ポリプロピレン(PP)製の緩衝材とポリエチレン(PE)製保護シートで構成、商品の形状や大きさなどに応じて組み合わせる。
工場出荷時の商品に使用し、建築現場で開梱して回収する。解体・組み立ても容易で、補修や再生(リサイクル)をしなくても、数十回に渡り使用できる上、最終的には路盤材などにも転用できる。
積水ハウス向け商品の梱包材として、昨年から一部の地域で試験的に導入していたが、今年春から全国展開に踏み切った。
クリナップは積水ハウス向けに、年間で約6000〜7000セットのキッチンを納入している。全長が2メートルを超えるワークトップに使用する段ボールは、1セットあたり約8〜9キログラムにも及ぶことから、年間約5〜6トンの紙の削減につながる。
クリナップは、今後、ワークトップ以外のキッチン構成部品や洗面化粧台などにも、リターナブル梱包を採用していく方針で、積水ハウス以外の大手住宅メーカーや一般工務店にも、積極的に導入を提案する。
日本工業新聞 2003/7/18(金)
環境機器を手がける鈴木産業(京都市西京区)と京都大学大学院などは、バイオテクノロジーを使った有機系の汚泥排出ゼロ(ノンスラッジ)の排水処理装置を開発、染色工場をはじめ飲料水メーカー、食品、化学、紙・パルプなどの工場向けに受注活動を始めた。
近畿経済産業局からの受託研究である「即効型地域新生コンソーシアム研究事業」により開発した装置で、研究開発には鈴木産業、京大のほか大日化成(大阪府門真市)、同志社大学、熊本大学が参加した。
開発したノンスラッジ排水処理システムは3段階の処理槽で構成。大日化成が参画した第一槽では、今中忠行・京大大学院工学研究科教授が発見した高速酸化分解菌を使って有機物を完全酸化分解。第二槽は同分解菌の働きを活性化させる工程で、水島二郎・同志社大工学部教授と鈴木産業が共同開発した新型エアレーターと、鈴木産業の超微細気泡発生装置を組み合わせて高速で酸素を供給する。また、第三の沈殿槽では、古川憲治・熊本大工学部教授の指導により、0.1マイクロ(1マイクロは100万分の1)メートルの微細な穴でろ過する膜分離法を活用し有機物を完全に酸化分解する。
すでに大同マルタ染工の染色工場で実証テストを行っており、染色工程で排出される有機物PVA(ポリビニールアルコール)を分解。有機系の汚泥は全く出ず、しかも処理速度は従来方法の8〜10倍になったという。
標準価格は1セット3000万円。鈴木産業を通じて当面年間10セットを目標に販売する。