全国の温泉やスーパー銭湯など237ヶ所を調査したところ、6割以上からアメーバが見つかったという報告書を、国立感染症研究所などがまとめた。アメーバは重い肺炎を起こすレジオネラ菌の温床になり、まれに脳炎の原因になって死亡することもある。お湯の循環装置などに張り付いていることが多いとみられ、感染研は、消毒や清掃の徹底が必要と指摘している。
感染研と全国14ヶ所の衛生研究所が昨秋から、内風呂、露天風呂、ジャグジーなどそれぞれ2〜6設備の湯を調べた。その結果64%の151ヶ所でアメーバが見つかったという。
アメーバは体長100分の3ミリ前後の単細胞生物で、淡水、海水、土壌などに広い範囲に生息している。温水で増えやすい種類にはレジオネラ菌を増殖させたり人への病原性があったりするものが多いという。
厚生労働省は「循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアル」をつくり、消毒や清掃の徹底を指示している。だが、マニュアルと違った消毒をしていた宮崎県の温泉でレジオネラ菌の集団感染が起きるなどの事件が続いている。
感染研の遠藤卓郎・原生動物室長は「厚労省のマニュアルが正しく理解されて守られていれば、アメーバも抑えられ、ひいてはレジオネラ問題も起きないだろう。お湯のチェックや清掃といった管理体制を施設に尋ねるなど、利用者も、お湯の質にもっと関心を持てば施設側に改善を迫る力になる」と話している。
朝日新聞 2002/8/15(木)
東京都水道局は14日、東京都立川市内の約3500世帯に飲料水を供給している2カ所の浄水所で、発がん性が疑われている合成有機化合物が一定の濃度で検出されたと発表した。都は2浄水所からの配水を中止し、別水源からの配水に切り替える作業を進めている。
検出されたのは「1.4−ジオキサン」。米国環境保護庁の研究では、1リットル当たり30マイクログラムの濃度で一生飲み続けた場合に、10万人に1人以下の割合でがんを発症する危険性が指摘されている。
確認されたのは砂川中部浄水所(立川市砂川町)と、西砂第一浄水所(同市西砂町)。それぞれ1リットル当たり38マイクログラム、36マイクログラムを検出した。23区内にある浄水場の平均値は同0.5マイクログラムとなっている。
浄水所は、いずれも地下100メートル以上の深さからくみ上げている井戸水が水源。