環境、農水、経済産業、文部科学の4省は12日、遺伝子組み換え生物の移動や利用を規制する法案を2003年の通常国会に提出することを決めた。遺伝子組み換え生物が野放図に広がったり、在来種と交雑したりして生態系に悪影響が出るのを防ぐ一方、遺伝子組み換え技術の研究開発や商業利用を促進する狙いがある。
法案が規制対象とするのは、遺伝子組み換え農作物や微生物の輸出入と、国内で開発された生物。組み換え生物を輸入する場合は、事前にどの程度環境に影響するかの評価(リスク評価)を行い、輸出する場合は相手国に事前に通報するなどの義務を定める。
また、リスク評価の指針は国が定める▽繁殖した組み換え生物が無秩序に広がらないよう予防の仕組みが必要▽遺伝子組み換え植物の種子を栽培用に輸入する際は、事前に生態系に影響が出ないかを評価し、栽培中も監視する▽環境への悪影響が認められた場合には輸入差し止めや廃棄処分などの緊急措置をとる――などが盛り込まれる。
食品の安全性は食品衛生法で規制しているため新法の直接の対象ではないが、食用で輸入した種子が農地に入り込むことによる影響も考慮されている。
日本では農水省が89年に遺伝子組み換え作物の指針を作り、試験栽培、作付け、食用などの目的別にリスク評価を行っている。これまでに除草剤耐性大豆やトウモロコシなどの商業栽培が許可されているが、消費者の不安が強いことなどから、現在国内では販売用の栽培はされていない。だが、米国などから飼料用や食用として、かなりの遺伝子組み換え作物が輸入されているとみられる。
毎日新聞 2002/6/13(木)
地球温暖化防止条約・京都議定書の批准を受け、環境省は企業が排出する二酸化炭素(CO2)など温暖化ガスの排出量を見積もる手法を今年の夏までに指針として標準化する。企業が温暖化ガスの排出量を自主的に公表する動きが広がるなかで、モデルとなる算出方法を示す方向だ。
温暖化ガスはエネルギー消費に伴って排出されるが、実際の排出量を見積もる手法は確立しておらず、各企業が独自の方法で算出している。指針では電気や石油、石炭などエネルギーの使用量から温暖化ガス排出量を換算する計算式を出し、換算方法標準化によって、企業間での比較が可能になる。CO2排出権の売買市場ができた際、各社が持つ排出権を算出する標準手法となる公算が大きい。