大阪府の4つの試験機関と地球環境技術研究所(大阪府東大阪市)は、リサイクル材を原料にした「壁面緑化基盤」の試作品を共同で開発した。植物を植え付けてビルやマンションの壁面温度を低下させる。今後、開発に参加する企業を増やし、1−2年後の実用化を目指す。
共同開発に参加した試験機関は、大阪府立産業技術総合研究所、大阪府産業デザインセンター、大阪府立食とみどりの総合技術センターおよび大阪府立産業開発研究所。
試作したのは、砕石残土とリサイクルウールを少量のセメントおよびセメント混和剤で固めた緑化基盤。サイズは50センチ角で厚さは5センチ。
多孔質で断熱性にすぐれ、保水性や通気性もあり直接、多年生植物を根付かせることができる。今夏、タッタナデシコを植え付けた基盤を、食とみどりの総合技術センター(大阪府羽曳野市)屋上の壁面に置いて温度を測定したところ、外壁温度が約45度Cの場合、植物があると約10度Cも低下した。
また、緑化基盤を使うと、ツル性植物を壁にはわせて緑化させる方法に比べ短時間で緑化できる特徴もある。
日本工業新聞 2002/10/18(金)
環境省が来年の通常国会へ提出する廃棄物処理法改正案の概要が決まった。18日に中央環境審議会(環境相の諮問機関)がまとめた報告書の中で示されたもので、規制強化と緩和の硬軟両面から政策を盛り込んだのが特色。「何をごみとするか」という廃棄物の範囲を広げたり、自治体の立ち入り調査権の強化で、不法投棄対策を強化する一方、リサイクル促進のための許可手続きの合理化を示した。また、処理困難な廃棄物については、メーカーに設計工夫や回収処理を促す拡大生産者責任を求める。
報告書は、廃棄物の範囲について、「リサイクル可能物を含め、不要物全体を廃棄物とする」とし、併せて「不要物の判断基準を明示すべき」とした。念頭には、ごみを資源と偽り大規模な不法投棄に発展した香川県豊島事件などがある。
報告書はまた、自治体の立ち入り調査権の強化を提示。これまで廃棄物と判明しなければ調査権がなかった市町村に、「廃棄物の疑い」があるだけでも調査権を与える。
また、被覆電線のように、「資源」であっても野焼きなどで環境汚染が起き得るものは、市町村に事後調査と命令権を持たせる。報告書は、「事後対応を軸とした環境保全上の管理が必要」との表現で、リサイクル資源への規制を示した。
一方、まじめにリサイクルに取り組む事業者を支援するため特例制度を拡充する。
廃棄物処理業の許可は、産廃は都道府県ごとに、一般廃棄物は市町村ごとに必要だが、特例として1回の大臣認定で全国営業を認める「広域再生利用指定制度」がある。
現在、廃自動車、廃家電など61件を認定。改正法案は、適正処理を促す処理基準を新設のうえ、認定品目を増やす。
また、リサイクル設備や事業者を対象に、一定条件を満たせば「処理業」と「設備」の許可を不要にする「再生利用認定制度」の認定品目も拡大する。
このほか、有害物質を含む農薬や電池などの「処理困難廃棄物」を、市町村が適正処理できるように、メーカーに製品設計や廃製品の回収処理を行わせる「拡大生産者責任の強化」を打ち出す。